日本では明治以降において天然染料を使うことを指して学識研究者、作家はそれぞれに好みの言葉を造語しているが、社会日常語となった草木染のほかに戦前では、植物染研究の先駆者・本草学者の白井光太郎氏は「染料植物」、染織書誌学者・後藤捷一氏は「和染(わぞめ)」、上代染織史学者・上村六郎氏は「本染(ほんぞめ)」。昭和31年に記録作成を講ずべき無形文化財指定の後藤博山(ごとうはくざん)氏は「古代植物染」。戦後派の松本宗久氏は「草根花木皮染」。前田雨城氏、吉岡常雄氏、木村光雄氏その他の学識者は「天然染料」の名称を主に、好まれているが、一般の染織家の大半は草木染(め)を選択している。また「花染」も登場した。